
SMKは、奈良県宇陀市が掲げる「認知症の不安ゼロ」のまちづくりについて、宇陀市長・金剛一智氏へのインタビューを実施した。
「高齢になっても地域で頑張りたい」という市民の声

宇陀市の風景-榛原猟路の桜-

宇陀市の風景-菟田野秋祭り-
奈良県東部の高原に広がる宇陀市は、人口減少や過疎化が進み、高齢化率は45%を超えているそう。市民は健康への強い関心を持つ一方で、日常生活や将来への不安を抱えているという。
それでも宇陀市では、「高齢になっても地域で頑張りたい」という前向きな思いが確かにある。

金剛市長は、こうした市民の思いに応えて、人口減少や過疎という厳しい状況の中でも、市民の安全・安心を守り、しっかりと行政サービスを提供し続ける持続可能な仕組みを築く必要があると考えている。
そして、そこからさらに新しい発展を目指す、そんなまちづくりを進めたいとの考えをもつ。
地域医療の充実と残された課題
宇陀市では、高齢化が急速に進む中で、地域医療の充実に力が注がれてきた。
宇陀市立病院は、2月時点で4病棟・176床を備え、地域包括ケア病棟を運営。平成31年には「地域医療部」を創設し、在宅医療や介護との連携が強化された。
また、令和4年には移動診療車を導入。車内にはエコーやレントゲンなどの検査機器を積み、医師や看護師が市内を巡回して診療を行っている。これは、過疎地域で開業医の閉院が相次ぐ中、住み慣れた地域で安心して医療を受けられる「面倒見の良い地域医療」を目指した取り組みだ。
さらに、認知症への不安を抱える市民も多いため、認知症の理解促進や予防啓発、「いきいき百歳体操」などの交流の場づくり、市立病院でのもの忘れ外来や認知症の初期段階での支援チーム設置など、さまざまな施策を進めている。
しかし、現場の声を聴くと、認知症の人や家族は周囲の目を気にして相談をためらい、重症化するまで抱え込んでしまうケースが少なくないのだそう。認知症の早期相談や早期受診を促すことは、依然として大きな課題だと宇陀市は感じている。
AIツールを活用した新しい認知症予防のかたち
宇陀市では、認知症の早期発見や早期治療の重要性を強く認識しているが、実際には早期相談や受診を促す取り組みがなかなか進んでいない。
認知症予防セミナーを開催した際にも、検査に抵抗感を示して途中退席した人がいたほどで、心理的ハードルの高さを改めて実感したという。

宇陀市長とSMKメンバー
そのような中で宇陀市は、SMKが開発したAI音声解析ツールに出会った。約40秒の音声で「あたまの健康度」をチェックできるSMKのAI音声解析ツールは、国立循環器病研究センターとの共同開発による高精度な判定ができる。
スマートフォンにアプリを入れるだけで、自宅でセルフチェックが可能。宇陀市は、これなら認知症検査や受診への心理的ハードルを大きく下げられると感じたそう。
宇陀市では、まずは「気軽に自分ごととしてチェックする」文化を根付かせることが大切だと考えている。そして、家族も含めた早期相談の促進、地域の病気への理解・運動・予防啓発を一体化し、認知症の不安ゼロのまちづくりを具体化していきたいとの考えをもつ。
10者による包括連携で一気通貫
令和7年8月、宇陀市はSMK・太陽生命・太陽生命少子高齢社会研究所・宇陀市立病院の5者で連携協定を締結。同年10月には、国立循環器病研究センター、国立長寿医療研究センター、東京電力パワーグリッド、リージョナルデータコア、J-MINT認定推進機構などを加え、計10者による包括連携協定を再締結した。
この連携の意義は、地方都市が共通して抱える課題――過疎化、人口減少、少子高齢化、地域産業の衰退、そして厳しい財政状況――に対し、行政だけでは対応できない現実を打破することにあるという。この枠組みのもと、啓発から予防、早期発見、医療、見守りまでを一気通貫でつなぐ「認知症予防包括プロジェクト」を推進している。
同プロジェクトの第一歩は、市民がSMKの「あたまの健康度」チェックツールを気軽に使えるようになること。宇陀市としても、MCIや認知症予防に関するセミナーやイベントを積極的に開催し、その場でチェックツールを体験できる機会を設けたいと考えている。また、情報発信を強化し、家族にもチェックの重要性を伝えていく。
宇陀市から全国へ
今回のプロジェクトの大きな目的は、認知症を“自分ごと”として気軽にチェックし、早期に対応する文化を根付かせること。宇陀市は、“宇陀モデル”を全国に広げることは、日本全体の未来にとって大きな希望となると考えている。
宇陀市は、「地方や都会に関係なくどこに住んでいても、ずっと暮らし続けられるまちづくり」を目指し、“認知症の不安ゼロのまち”の実現に向けて、これからも挑戦を続けていく。

宇陀市の風景-カエデの郷ひらら-
「認知症の不安ゼロ」のまちづくりに挑戦する宇陀市の取り組みに注目してみては。
宇陀市公式HP:https://www.city.uda.lg.jp
SMK「音声による分析技術の紹介」ページ:https://www.smk.co.jp/ja/products/lineup/healthcare/voice-recognition
(Higuchi)